コミュニティの混乱とWeb架空鉄道の方向性の模索

 2000年から2001年にかけて、Web架空鉄道趣味界を代表する2大コミュニティサイトが出揃い、Web上における架空鉄道趣味者層の拡大に大きく寄与した。

 しかし、Webによって気軽に架空鉄道を公開できるようになった反面、ややもするとコンテンツの作成よりも、コミュニティサイトへのネタの投稿をメインにする架空鉄道趣味者(俗に言う"会社ごっこ的な架空鉄道")が増加し、例えば、台風や大雪といった悪天候の度にネタのバラマキ的な投稿が溢れたり、またコミュニティ上で参加者同士がトラブルを起こすなど、コミュニティが混乱する事態が発生することが多くなっていった。

 そうした傾向は、2001年9月11日にアメリカ合衆国内で発生した航空機ハイジャックによる同時多発テロが、VRSの「プレスリリース」上でネタにされた時点で最高潮に達し、積み重なるトラブルの影響もあり、当時Web架空鉄道界最大のコミュニティサイトであったVRSはその2日後に閉鎖されることとなった。

 その後VRSに代わるコミュニティサイトの再建が試みられたが、VRS時代の"中身(コンテンツ)がろくに無い架空鉄道"の濫造や、「プレスリリース」上での価値のない情報の氾濫や、あるいは架空鉄道同士の乗り入れそのものが話題になるような掲示板のあり方などに嫌気を差し、架空鉄道の中身(コンテンツ)そのものをもっと向上させていこうと言う動きが生じた。

 どの結果、コミュニティは実質的に2ちゃんねる上の「ええ架空鉄道。」スレッド、リンク集やサイトの宣伝の役割を果たすポータルサイトは架空鉄道NAVIと別れ、VRSが稼働していた当時とは異なる形態となっていった。

 「ええ架空鉄道。」スレッド上における議論は、それまであまり注目されなかった架空鉄道制作技術を深化させていくことになり、架空鉄道サイトにおけて、本来一番重要であるはずのコンテンツ(他者に見てもらいたい想像上の鉄道を表現したもの)に力を注ぐ傾向を生み出し、見応えのある架空鉄道サイトの増加につながった。


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Last-modified: 2012-06-21 (木) 22:39:49 (4328d)